滅亡…というより根絶に到る寸前まで、人類は同族と良く闘った。

だが、それは人類史終了の原因とは何ら関わりがない。

ラグナロク、と仮に名付けよう。宇宙の深淵を漂う不可視の霧は、オールトの雲を遥かに上回る規模で太陽系を通り抜けていった。

ニュートリノとほぼ変わらない特性を持ち、殆どの事物には影響力がなく、ただ一つの特性として知性のカギを破壊する力を持つ。

人類は何が起きたのかさえ知らないまま、全てのDNAを分子レベルで瓦解され、霊長類の地位を失った。

そして地上には僅かな数のメイドが遺された。地球最後の地質時代、メイド紀の始まりである。